暮らすように過ごす
上市町で3日間過ごしてほしいというと、ぽかんとする反応が多くみられます。確かに「観光地」としてみると、3日間を過ごすことは難しいかもしれません。
少し考えてみてください。
旅行だからと張り切って、観光ガイドブックに載っている先をひとつずつ巡る。
「見た」満足感は得られるかもしれませんが、案外ヘトヘトになってしまいます。
今回の滞在では、ガイドブックを〝確認する〟ような過ごし方ではなく、〝普段の自分〟そのままに、ここで過ごしてみませんか?
初日は剱岳が姿を見せないかもしれません。
次の日はきれいに見えるかもしれません。
その次の日はもっときれいにみえるかもしれません(見えないかもしれませんが)。
〝普段の自分〟のまま他の場所で過ごそうとすると、
元の環境では感じなかった不自由やストレスが生じるでしょう。
あるいは〝間〟や〝待ち時間〟なんかをうっとうしく感じるかもしれません。
それでも3日間もいるとその土地の空気に慣れてきますので
ちょっとした違いに気づくことができるかもしれません。
暮らすように過ごすと、3日程度はあっという間に過ぎてゆきます。
私を〝目立てる〟宿
隕石から作られた「流星刀」の原石は上市町で見つかりました。
なぜ、路傍の石が、〝他と違う〟気づくことができたのか?と疑問を持ちました。
余程見慣れていないと、違和感や違いに気づくことはできないと思います。
metateと名付けたこの宿は、もともと鋸(ノコギリ)を作っていた建物です。
時代とともに鋸が売れなくなると、目立て屋として上市町で最後まで残っていました。
目立てとは、鋸のつぶれてしまった〝目〟を鋭くすること。
上市町は、静かに自分と向き合い、鈍ってしまった自分のエッヂを研ぐには最適な環境です。
3日といわず、住むようにゆっくりとお過ごしください。
そしてあなたの感性を取り戻してください。